こんにちは、外資系コンサルやってます。よろしくお願いします。
この度、星野リゾートが山形に進出すると言う大衝撃なニュースを目にしたので、どのような旅館が山形に出来上がるのかを県民、そしてコンサルという目線で書いてみた。
星野リゾートとは
星野リゾートとはどのような観光事業だろうか。
本社は長野県軽井沢町。東京・大手町や京都、青森、石川、静岡、大阪、熊本、鹿児島、沖縄、海外は台湾、グアムなどに宿泊施設を展開している。
星野リゾートは高級宿を展開しているイメージが一般的にはある。しかし、高級ブランドの宿だけではなく、ビジネスホテル並みの価格帯の宿もあるといった複数のブランド展開を実施している。また、ブランドによってコンセプトが大きく異なるだけではなく、各地域の特色を生かしたサービスが魅力である。
星野リゾートが展開するブランド
星野リゾートのブランドを大きく分けると4つに分類される。数十万円の高級宿から数千円で宿泊できる宿まで多様なラインナップ。以下一部は星野リゾートホームページからの抜粋。
「夢中になるという休息」をコンセプトに、各施設が独創的なテーマで、圧倒的非日常を提供するブランド。
という名のとおり、星野リゾートの中で最もハイブランドに位置する。軽井沢、東京、富士、京都、沖縄、竹富島、バリ、グーグァン(台湾)に所在。価格が超高級。
地域の魅力を再発見、心地よい和にこだわった上質な小規模温泉旅行を楽しめる。
地方の旅館をリノベーションしており、各施設によってコンセプトが異なる。地域の歴史や文化を生かしたおもてなしが展開されていることから、「界」を巡る観光客は多い。
2023年7月現在、25施設。鬼怒川、日光、箱根、仙石原、熱海、伊東、松本、加賀、出雲、湯布院、雲仙、霧島など全国に所在。
土地の特性を生かした空間デザインと大自然を思う存分享受するアクティビティをそなえるリゾートホテル。
ホームページに記載のとおり、旅館ではなく、「ホテル」として山や海を全面に活用したアクティビティが多い。
トマム(北海道)、那須、熱海、八ヶ岳、大阪、小浜島、グアムに所在
テンションあがる「街ナカ」ホテル/居酒屋以上旅未満、みんなでルーズに過ごすホテル。
星野リゾートを手軽に、気軽に利用するのであればこれ。街で遊ぶことを前提にホテルがあるので、街の魅力をPRする掲示が館内に多くある。想定顧客は大学生や20代の若者。
小樽やすすきの、東京大塚、浅草、赤坂、京都など地方都市ではなく、都市に所在。
上記のとおり4つのブランドがあり、今回山形にはどのブランドの宿が展開されるだろうか。
山形の蔵王という場所
そもそも山形県ってどんな場所なんだろうか。
東京から県庁所在地の山形市までは新幹線で2時間40分ほど。県民としても結構驚きなのだが、途中の福島駅から終点の山形県「新庄駅」までは高架を走らずに地上を走る。つまり実質的には新幹線ではなく、特急列車扱いで走行するのだ。東京〜福島県の方が距離が遠いのに、福島〜新庄間の方が余計に時間がかかるという謎現象。
そして、山形は何と言っても東北を代表する温泉地。というのも、山形県は県内全ての市町村で温泉が湧き上がる全国唯一の県。「総湧出量」という温泉が湧き出る量は大分県が全国トップであり、山形県はトップ10にも入っていないののも事実だが、山形県は各市町村多かれ少なかれ温泉が出る「温泉県」。
温泉県ということもあり、県内には観光地があちこちにある。山形市の北、南にはそれぞれ天童温泉・かみのやま温泉があり、さらに山形の北部地方の尾花沢市にある銀山温泉は世界的にも有名な観光地である。
銀山温泉は橋田壽賀子氏脚本の朝の連続ドラマ小説、「おしん」が東南アジアで放送された影響で東南アジアの観光客が特に激増。銀山温泉の景色自体もインスタ映えするということでSNSでバスり、世界的に有名な温泉地となった。コロナの影響により客数は減少したが、これからどれだけ観光地として復活するか期待したい。
蔵王温泉の魅力
温泉県として山形を見ていくと、銀山温泉ほどではないが有名な場所が、この度星野リゾートが進出する「蔵王温泉」である。
蔵王温泉観光協会のホームページには当地の歴史の記載があった。
- 開湯1900年前、日本武尊の東征の際、従軍した吉備多賀由(誰)により発見
- 江戸時代になると、蔵王権現への西側登山口としてにぎわい、早くも総合リゾートとしての様相を呈す
- 昭和に入るとスキー場もオープン
- ホテル・ペンション・民宿等も相次いで開業。東北最大級の総合マウンテンリゾートとして発展
- 蔵王温泉は体内水分量を増加させ、肌と血管を若返らせる強酸性の硫黄泉であり、血行促進効果や「美肌」も促進
と、1900年の歴史、そして、ただ温泉が湧き出るわけではなく湯の質も良いという観光地として抜群のコンテンツを持つ蔵王温泉。
効能の詳細は、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症、神経症、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進がある、とのこと。
レジャーとしてはスキー場が整備されている。特に、樹氷が有名である。さらには雪質の良さからスキージャンプのワールドカップが蔵王で毎年開催されており、世界中の有名スキー選手、日本代表として高梨沙羅選手も毎年エントリーしている。
蔵王に出来上がる宿
そんな温泉を活用した観光地として十分すぎるコンテンツを持つ蔵王温泉という地に、星野リゾートはどんなブランド・サービス展開をしていくだろうか。
まず、蔵王温泉のどこに建設されるかと言うと、蔵王温泉の中心部にある「ZAO センタープラザ」跡地に新たに建物を建築する見込みとのこと。通常の星野リゾートでは既存の閉業した旅館の建物をリノベーションするにとどめる(特に「界」)ため、デザイン性に優れたリノベーション力を持つ星野リゾートが新たにどのような建築物を示すかは非常に興味深い。
ブランド展開は、おそらく「界」と予想。星のやは軽井沢、京都、東京、富士など世界的に特に有名な観光地でのみ展開しているブランドであることを踏まえると、星のやの可能性は低い。栃木や静岡などと同様、日本全国に展開されている「界」の可能性が高く、地域の特色を生かした旅館運営になると思われる。
名称として考えられるのが、「界 山形」もしくは「界 蔵王」。どちらにしても山形県民としては誇りである。
次にコンテンツ展開はどうだろうか。
星野リゾートは地域の特色や景観を施設のコンテンツに活用する。以下は一例。
- リゾナーレトマム:高い標高を生かして、絶景の山々の景色を生かしたドッグラン体験
- 界アンジン(伊東市):地域のクラフトビール工場と連携したブルワリー探訪
- OMO7大阪:たこパハロウィンアフタヌーンティー(さすが大阪)
山形の蔵王温泉ではどんなイベントが考えられるか。
蔵王温泉の雪質の良さ、木々の豊かさと言った自然環境を生かすとなると、スキーや樹氷、ヘルスツーリズムがキーワードになると予想。
また山形は農業、米、野菜の収穫はもちろん、特にフルーツの産地であり、さくらんぼ、ラフランス、ぶどう、スイカ、もも、りんごなど大体北国で収穫できる果物は作れるので、それらの自然の食物を活用したコンテンツ展開も期待できる。
星野リゾートで山形を
今回は、星野リゾートのサービス、山形の蔵王温泉の魅力を記載した。
山形にはリッツ・カールトンやアマン、ハイアットなどの外資系ホテルはもちろん、国内の高級ホテルもなく、ほぼ県内の事業者のみで観光産業を成り立たせてきた地域である。これはこれである意味すごいビジネス力、エコシステムの強さを示している。
ただ、地域の観光力を高めるために地域外の事業者が参画して、温泉地としてのブランド力を向上させていくことが地域活性化に必要不可欠である。
と、ここまで書いておきながら何なんだけど、まだ「星野リゾート進出の見込み」以外何も発表されてないので、情報を待つ。
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